高野山にも熊野古道にも行きたいけれど、地図で見ると同じ和歌山なのに山を越えた反対側。
「1泊で両方いける?」「車がないと無理?」と、日程の組み方で手が止まってしまいますよね。
結論からお伝えすると、車なら高野山の宿坊に1泊して翌日熊野本宮へ向かう1泊2日、電車とバスなら2泊3日がおすすめ。
高野山から熊野本宮までは車でも約2時間〜2時間半かかり、両方を歩いて回るには1日では足りないからです。
いちばん迷いやすいのが「公共交通で高野山から熊野へ直接行けるか」ですが、春〜秋は直通の「聖地巡礼バス」があり、冬は大阪側に戻って紀伊田辺からバスで入れば回れます。
この記事では、移動手段と日数ごとに5つのモデルコースを並べ、所要時間・駐車場・混雑・冬の通行止めまでまとめました。
自分の旅程に近いコースを見つける参考にしてください。
▼高野山・熊野古道のモデルコース5選▼
▼1日目の宿坊は、バス停から歩ける寺を押さえておくと翌朝が楽です▼
高野山・熊野古道のモデルコースを選ぶ前に知りたい移動時間

高野山と熊野古道は、どちらも2004年7月に世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録された場所です。
ただ、高野山は和歌山県の北東、熊野本宮は紀伊半島の真ん中あたりにあり、そのあいだは山道が続きます。
高野山と熊野古道は1日で回れる?
移動だけなら1日で可能ですが、観光まで入れると1日では回りきれません。
高野山から熊野本宮までは、車で高野龍神スカイライン(全長42.7km・無料)を通って約2時間〜2時間半かかります。
公共交通の直通バスだと、2025年度のダイヤで高野山駅前から本宮大社前まで約4時間40分。
朝に高野山を出ても本宮に着くのは午後なので、奥之院と熊野古道を同じ日に歩くのは現実的ではありません。
「せっかくなら1日で両方」と詰め込むより、高野山の宿坊に1泊して早朝の奥之院を歩き、そのまま熊野へ抜けるほうが移動のムダがありません。
何泊がちょうどいい?移動手段別の目安
日数は、移動手段と「熊野三山まで行くか」で決まります。
目安は次の表のとおり。
| 行き先 | 車 | 電車+バス |
|---|---|---|
| 高野山+熊野本宮 | 1泊2日 | 1泊2日〜2泊3日 |
| 高野山+熊野三山(本宮・速玉・那智) | 2泊3日 | 2泊3日 |
| 小辺路を歩いて高野山から本宮へ | 3泊4日(徒歩) | |
私が初めて組むなら、まずは車の1泊2日で「高野山+熊野本宮」に絞るのがおすすめです。
那智の滝まで欲張ると、2日目の移動が長くなりすぎます。
高野山・熊野古道のおすすめモデルコース5選

ここからは、移動手段と日数ごとに5つのコースを紹介しますね。
時刻は目安なので、拝観時間と宿のチェックイン時刻に合わせて調整してください。
①【車・1泊2日】宿坊に泊まって翌日は発心門王子から本宮へ歩く
いちばんバランスがいいのが、このコース。
大阪市内から高野山までは車で約2時間なので、朝に出れば昼前には着きます。
| 時間の目安 | 行程 |
|---|---|
| 1日目 午前 | 大阪から車で高野山へ(約2時間) |
| 1日目 昼〜午後 | 壇上伽藍・金剛峯寺(金剛峯寺の受付は16時30分まで) |
| 1日目 15時ごろ | 宿坊にチェックイン、夕食は18時ごろ |
| 2日目 6時ごろ | 朝の勤行(おつとめ)→朝食→奥之院へ |
| 2日目 午前 | 高野龍神スカイラインで熊野本宮へ(約2時間〜2時間半) |
| 2日目 午後 | 発心門王子→熊野本宮大社を歩く(約6.9km・約2時間30分)→大斎原 |
宿坊の朝の勤行は6時〜6時30分ごろに始まるお寺が多く、朝食後すぐに奥之院へ向かえば、人の少ない参道を歩けます。
奥之院は一の橋から弘法大師御廟まで約2kmあるので、往復と参拝で1時間半〜2時間は見ておくと安心です。
熊野古道は、世界遺産熊野本宮館の無料駐車場に車を置き、路線バスで発心門王子まで上がってから本宮大社へ下る歩き方が定番です。
本宮大社の参拝は17時までなので、高野山を10時前に出ないと歩く時間が足りなくなります。
歩く時間がとれないときは、熊野本宮大社と大斎原だけにしぼっても十分に雰囲気を味わえます。
帰りは紀伊田辺IC方面へ山道を約1時間半走るので、暗くなる前に出発してくださいね。
▼一乗院は千手院橋バス停から徒歩5分・無料駐車場あり。車でも電車でも動きやすい宿坊です▼
②【電車+バス・2泊3日】聖地巡礼バスで高野山から熊野本宮へ
車がなくても回れるのが、高野山と熊野本宮を結ぶ「聖地巡礼バス」を使うコースです。
和歌山県のモデルコースもこの流れで組まれています。
- 1日目:なんばから南海高野線で極楽橋へ(約1時間20分)→ケーブルカー(約5分)→バスで山上へ。壇上伽藍・金剛峯寺を回って宿坊泊
- 2日目:朝に奥之院→高野山駅前9時36分発の聖地巡礼バスで本宮へ(2026年度のダイヤ)→本宮大社・大斎原→湯の峰温泉か川湯温泉に泊まる
- 3日目:本宮から新宮へバス(約1時間)→熊野速玉大社→紀伊勝浦へ移動し、那智山行きバス(約30分)で那智の滝・那智大社
聖地巡礼バスは2026年度は4月2日〜11月30日の運行で、火曜・水曜は運休、1日1往復だけです。
運賃は高野山駅前から本宮大社前まで大人5千円台で、途中の護摩壇山で乗り継ぎます。
事前予約制で、締め切りは乗車日の前日15時。
1本を逃すとその日のうちに本宮へ着けないので、宿坊より先にバスの予約を確保しておくと日程が崩れません。
バスは高野山駅前のあと、千手院橋(東)を9時52分、奥の院前を9時58分に通ります。
宿坊をこの2つのバス停の近くにすると、朝の奥之院参りのあとにそのまま乗れます。
2日目の泊まりは、本宮大社からバスで行ける湯の峰温泉がおすすめです。
熊野詣での湯垢離場として知られる温泉地で、歩き疲れた2日目の夜に温泉宿をとっておくのが、このコースのいちばんの楽しみだと私は思っています。
▼湯の峯荘は貸切風呂が無料。2日目の夜の空き具合を見ておくと、バスの日程も決めやすくなります▼
③【車・2泊3日】高野山から熊野三山まで回るドライブ
熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社の三山をすべて回りたいなら、車の2泊3日が組みやすいです。
1日目は①と同じく高野山の宿坊に泊まり、2日目に本宮へ向かいます。
- 1日目:高野山(壇上伽藍・金剛峯寺)→宿坊泊
- 2日目:奥之院→スカイラインで本宮(約2時間〜2時間半)→熊野本宮大社・大斎原→湯の峰・川湯温泉泊
- 3日目:新宮へ(湯の峰から車で約40分)→熊野速玉大社→大門坂を歩いて那智大社・那智の滝→帰路
3日目は朝のうちに速玉大社へ行き、昼前後に那智に入ると時間に余裕が出ますね。
速玉大社は6時〜17時に開門していて、無料駐車場は普通車31台です。
那智大社のすぐ近くまで車で上がるには、神社の防災道路(通行料八百円)を使い、駐車場は30台だけです。
満車で待つのが心配なら、大門坂の近くに停めて石段を歩いて上がると、駐車場待ちをせずに熊野古道らしい道も歩けます。
那智の滝のそばの飛瀧神社から那智大社までは、階段で約15〜20分です。
滝と大社と青岸渡寺をまとめて見るなら、那智だけで2時間は見ておいてください。
④【歩き・3泊4日】熊野古道小辺路で高野山から本宮へ縦走
「車で移動するのではなく、高野山から熊野まで自分の足で歩きたい」という人には小辺路(こへち)があります。
高野山と熊野本宮を最短で結ぶ参詣道で、全長は約69.5kmです。
| 区間 | 距離 | 標準的な歩行時間 |
|---|---|---|
| 高野山〜水ヶ峰 | 11.3km | 約3時間30分 |
| 水ヶ峰〜三浦口〜柳本橋 | 43.0km | 約13時間 |
| 柳本橋〜熊野本宮大社 | 15.2km | 約5時間35分 |
伯母子岳・三浦峠・果無峠など、標高1,000m級の峠をいくつも越えるので、熊野古道の中でも上級者向けのルートです。
1日5〜7時間歩く計算になるため、3泊4日で組むのが目安になります。
途中の集落は宿の数が少ないので、日程は「泊まれる宿」から逆算して決めると歩けない日が出ません。
避難小屋のトイレは冬(1月末〜3月末ごろ)は使えなくなるため、歩くなら春か秋が向いています。
⑤【冬・電車】12月〜3月に回る2泊3日
冬は高野山から熊野へ山越えするルートが使いにくくなります。
聖地巡礼バスは12月〜3月は運行がなく、高野龍神スカイラインも夜間は通行止めになるからです。
そこで冬は、高野山からいったん大阪・和歌山側に下り、特急くろしおで紀伊田辺へ回るのがおすすめです。
遠回りに見えますが、山道の凍結を心配せずに済みます。
- 1日目:高野山観光→宿坊泊(雪の奥之院は冬ならではの景色)
- 2日目:南海で橋本へ下り、JRで和歌山→特急くろしおで紀伊田辺→バスで本宮へ(約2時間)→本宮周辺の温泉泊
- 3日目:発心門王子〜本宮大社を歩く→快速バスで白浜へ(約2時間)、または新宮方面へ
2日目はほぼ移動日になるので、紀伊田辺で昼食をとってからバスに乗るくらいのゆとりを持たせてください。
白浜に抜ければ、最終日に白浜温泉に寄ってから帰る組み合わせもできます。
高野山の所要時間・拝観時間・駐車場

高野山で回るのは、主に奥之院・壇上伽藍・金剛峯寺の3か所です。
それぞれの時間の目安をまとめました。
奥之院・壇上伽藍・金剛峯寺の所要時間
| スポット | 時間 | 所要時間の目安 |
|---|---|---|
| 奥之院 | 参道は終日・燈籠堂は6時〜17時 | 1時間半〜2時間(一の橋から御廟まで約2km) |
| 壇上伽藍 | 根本大塔・金堂は8時30分〜17時 | 約1時間 |
| 金剛峯寺 | 8時30分〜17時(受付16時30分まで) | 約1時間 |
拝観料は金剛峯寺が大人千円、根本大塔と金堂が各五百円です。
3か所以上入るなら、金剛峯寺・金堂・根本大塔・徳川家霊台に入れる共通内拝券(二千五百円)のほうがまとめて買えて手間がありません。
宿坊は高野山の117寺院のうち52寺にあり、精進料理と朝の勤行を体験できます。
チェックインは15時ごろが多いので、1日目は宿坊に入る前に壇上伽藍と金剛峯寺を回っておくと、2日目の朝を奥之院にあてられます。
高野山の駐車場と紅葉シーズンの混雑
高野山の紅葉は例年10月下旬〜11月初旬が見ごろで、この時期の週末は山上の道路と駐車場がいちばん混みます。
2024年の11月1日〜24日には、中の橋駐車場と金剛峯寺前第2駐車場が試験的に有料化(30分以降は終日千円)されました。
紅葉の時期に車で行くなら、高野町が公開している「混雑予測カレンダー」と駐車場の空き状況(高野山デジタルマップ)を前日に確認し、空いている日と駐車場を選ぶと渋滞に巻き込まれにくくなります。
有料化がその年も行われるかは、出発前に高野町の案内を確かめてみてくださいね。
宿坊に泊まる場合は、宿の駐車場に車を置いて山上をバスと徒歩で回ると、駐車場探しをしなくて済みます。
一乗院のように無料駐車場がある宿坊を選ぶのも、混む時期には効いてきます。
熊野古道・熊野三山の所要時間と駐車場

熊野側は、三つの神社の参拝時間と駐車場の台数がばらばらです。
行く順番を決める前に、ここを見比べておくと安心です。
| 神社 | 参拝時間 | 駐車場 |
|---|---|---|
| 熊野本宮大社 | 8時〜17時 | 無料(瑞鳳殿の隣・河原) |
| 熊野速玉大社 | 6時〜17時 | 無料・普通車31台 |
| 熊野那智大社 | 受付8時〜16時30分ごろ | 神社の駐車場30台(防災道路の通行料あり) |
熊野古道を初めて歩くなら、発心門王子から熊野本宮大社までの約6.9km(約2時間30分)がいちばん選ばれている区間です。
下り坂が中心で、最後に本宮大社の裏手へ到着する流れなので、歩き終えた達成感があります。
公共交通で熊野に入る場合の移動時間は、本宮大社前から紀伊田辺駅までバスで約2時間、新宮駅まで約1時間、白浜まで快速バスで約2時間です。
那智へは紀伊勝浦駅から那智山行きのバスで約30分かかります。
季節ごとの注意点と持ち物

高野山は標高が高く、熊野古道は山道です。
季節によって準備が変わるので、出発前にここだけ確かめておいてください。
▼ 出発前に確認したい注意点 ▼
- 1 冬の高野龍神スカイライン
2025年度は12月15日17時〜3月25日7時まで、17時〜翌7時は全面通行止め、昼も冬用タイヤとチェーンの携行が必要でした。冬に車で山越えするなら、明るいうちに通過してください。 - 2 聖地巡礼バスの運休日
火曜・水曜は運休し、12月〜3月は運行がありません。この日程で公共交通なら、コース⑤の紀伊田辺回りに切り替えます。 - 3 雨の日の石段
大門坂や熊野古道の石畳は雨で滑りやすくなります。靴底に溝のある歩きなれた靴と、両手があくレインウェアが向いています。 - 4 高野山の朝晩の寒さ
山上は平地より気温が低く、春や秋でも宿坊の朝の勤行は冷えます。羽織れる上着を1枚持っていくと安心です。
高野山・熊野古道の旅でよくある質問

高野山と熊野、どちらを先に回るのがいい?
大阪から出発するなら、高野山を先にするのがおすすめです。
大阪からの距離が近い高野山で1泊すると、2日目の朝に奥之院を歩いてから熊野へ向かえ、帰りは紀伊田辺や白浜の方面へ抜けられるので来た道を戻らずに済みます。
公共交通だけで回れる?
回れます。
4月2日〜11月30日の木曜〜月曜なら聖地巡礼バスで高野山から本宮へ直接移動でき、それ以外の日は特急くろしおと路線バスで紀伊田辺から本宮へ入るルートが使えます。
宿坊は誰でも泊まれる?
宗派や信仰に関係なく、一般の旅行者も泊まれます。
夕食は精進料理で、朝の勤行への参加は自由なお寺が多いので、予約時に勤行や写経などの体験内容を確認しておくと当日あわてません。
まとめ:初めてなら高野山の宿坊1泊から組むのがおすすめ

高野山と熊野古道は、車でも約2時間〜2時間半離れているため、1泊以上で組むのが基本です。
移動手段と日数ごとの選び方を、最後にまとめておきますね。
- 車で手軽に両方:①1泊2日(宿坊→発心門王子から本宮へ歩く)
- 車がない・春〜秋:②聖地巡礼バスの2泊3日(火・水運休、前日15時までに予約)
- 熊野三山まで全部:③車の2泊3日(那智は大門坂から歩くと駐車場待ちを避けられる)
- 自分の足で歩き通したい:④小辺路の3泊4日(約69.5km)
- 12月〜3月:⑤紀伊田辺回りの電車旅
もし1つに絞るなら、①の車で回る1泊2日がおすすめです。
宿坊の夕食と朝の勤行、早朝の奥之院、熊野古道のいちばん歩きやすい区間を2日間で無理なくつなげられ、バスの運休日も気にせず日程を組めます。
熊野が気に入ったら、次は那智の滝や小辺路まで足を延ばすと、紀伊山地の旅がもっと広がります。
▼紅葉の週末は宿坊から埋まります。泊まりたい日の空きだけでも見ておくと、日程が決めやすくなります▼





